疥癬の治療薬:ペルメトリンとイベルメクチン

2019年5月12日皮膚

1.疥癬について

病原体はヒゼンダニです。 

交尾後の雌成虫は、角質層にトンネルを掘り進みながら、約2か月間、1日2〜3個ずつ産卵し続けます。

卵から幼虫 ⇒ 若虫 ⇒ 成虫 と約2週間で成熟します。

皮膚同士の接触によって感染します。

低い温度では動きが鈍く、16℃ではほとんど運動しなくなる。

角化型と通常があるが感染数の違いで分類してます。 

角化型:100万~200万匹  通常型:数十匹

当然、角化型の方が数も多いわけですから感染力も高く、症状も重症となります。

2.日本と海外の治療方法の違い

日本ではイベルメクチン(商品名ストロメクトール:3mgTabのみ)を約200μg/㎏を1回経口投与します。 

成人50kgなら10mgですから3錠から4錠服用することになります。

しかし、実は海外では外用薬による治療が中心です。

その外用薬はペルメトリン(Permethrin)5%クリームです。

※日本にも疥癬の適応のある外用薬スミスリンローション5%がありますが成分が違います。海外ではほぼ使用されていない薬剤です。なぜかわざわざ成分の違う薬剤しか承認されていません。ガラパゴスですね。

3.治療方法の比較

ではどちらがいいのでしょうか? 検索してみました。 以下の論文が見つかりました。

Topical permethrin and oral ivermectin in the management of scabies: A prospective, randomized, double blind, controlled study

study design:RCT

対象:5歳以上の疥癬患者120人

方法:

A(ペルメトリン5%を塗布)/B(イベルメクチン1日目のみ内服)/C(イベルメクチン1日目と15日目の2回内服) 

結果の定義 :4週間後の完全治癒人数(※評価は1、2、4週後の3回あり)

状態の評価方法:

病変の数で重症度を評価: 0~3のスコアを割り当て

0=病変のない(疥癬なし)、1=10以下の病変(軽度)、2=11~49病変(中等度)、3= 50以上の病変(重度)

掻痒の主観的評価: 0〜3の段階的尺度

0 =掻痒なし、1 =軽度、2 =中等度、3 =重度

効果の判定方法:

改善は以下のように等級付け

軽度=病変および掻痒の数の50%未満の減少

中程度=病変および掻痒の数の50%以上の減少

良好=病変および掻痒の完全寛解

完全な臨床的治癒は、病巣の数ならびにそう痒の程度の50%以上の減少(すなわち、中等度および良好な改善)および顕微鏡検査として定義された。

4週間後に掻痒および皮膚病変に改善が見られない場合あるいは顕微鏡検査で新しい病変の出現またはダニおよびそれらの産物の持続が見られた場合は治療失敗と見なしています。また、軽度の改善(すなわち、掻痒VASおよび病変数の50%未満の改善)も治療失敗としています。

確認項目

ランダム化されているか? ⇒ タイトルにdouble blindとある。

ITTか? 脱落はどれくらいか?

3名脱落、脱落は除外して評価している。

結果(治療後4週間の完全治癒)

A群 36/38(94.7%) B群 36/40(90%) C群 35/39(89.7) その差は統計的に有意ではなかったとしています。つまりどの治療方法も同等の結果だったということです。

プライマリーアウトカムではありませんが、1週目の完全治癒を見てみましょう。

A群 27/40(67.5%) B群 14/40(35%) C群 12/40(30%) でした。

なんとペルメトリン5%外用薬は1週目で既に半数以上が完全治癒していました。イベルメクチンの倍です。

まとめ

プライマリーアウトカムを見るとペルメトリン外用薬でもイベルメクチン内服薬でも同等です。しかし効果の早さ、外用薬という使い勝手の良さを考えると断然ペルメトリン外用薬の方がいいです。

でも日本ではペルメトリン外用薬は未承認です。抗菌薬なども同様の状況です。本当に島国、ガラパゴスなんだなと痛感しました。

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Posted by digipha